ゴボウです。
登場時は世間を瞠目せしめた超弩級の名車20系ですが、当初の最高速度は一般車と同じ95km/hでした。つまり旧型と同じなわけです。
ところが、あの43・10改正で最高速度を 110km/hに上げるためのブレーキ改造が施されたのでありました。電磁自動ブレーキ(AREB)といいます。無理矢理簡単に言えば、ブレーキのための電気回路を編成全体に引き通して、運転台からの電気指令で各車の電磁弁を操作して、全部の車に同時にブレーキ管減圧をかける方法です。それまでの方法では、運転台でのブレーキ管減圧操作がブレーキ管を通って後ろへ順次伝っていくので、前の方はブレーキがかかっても後ろの方はまだ、というタイムラグを生じてしまいますが、AREBはそのタイムラグをなくし、効きを素早くするねらいがありました。
しかし、これで困ったのが機関車。電磁弁操作ができないと 110km/hで20系を牽けないのですからさあ大変! いわゆるP改造が始まりました。AREB化に際して20系では空気バネの空気からドアエンジンのエアまで元空気だめ管から取るようにしたため、電磁弁の指令装置のほかに元空気だめ管引き通しまで備えた機関車が多数現れます。EF65の 500番台、EF70、ED73、ED75、ED76の1000番台なんかがそれです。後に47・10改正で特急貨物を増発するとき寝台特急の速度を落とし95km/hのEF58でも間に合う運用ができると、元空気だめ管引き通しだけ装備したEF58も加わります。
ただ、20系が「銀河」に急行格下げ使用されるようになり、カニ21に元空気だめ空気の供給装置を載せたカヤ21が登場するに及んで、機関車側の制限は全くなくなりました。言い方を変えると、 110km/h走行しなくてもよいことになってしまったわけです。
以上、20系裏話であります(笑)が、だからこそ20系を模型で編成するときは牽引機も考えないとおかしなことになってしまうわけです。
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